「盗聴していない」を証明する台帳

キャストに持たせる安全デバイスは、GPSで位置を測り続け、店が遠隔で設定を書き換えられる端末だ。 この種の端末には、こちらから発信して周囲の音を無音で聞く機能が載っていることがある。 うちはそれを最初から封印した。画面にも、設定の保存先にも、端末へ送る経路にも出さない。 身を守るための端末が、店に監視される端末になった瞬間に、持ってもらえなくなるからだ。

ただ「やっていない」は言うだけなら誰でも言える。 だから6月の終わりに、端末へ送った設定を一件残らず台帳に残す仕組みを足した。 誰が、いつ、どの端末に、どの設定を送ったか。店が保存したものも、裏で自動的に送り直したものも、全部だ。 端末へ向かう通信の経路はひとつしかなく、その経路の出口で必ず1行書く。 聞き取りの命令はどこにも生成されないので、この台帳に一度も現れない。それが「盗聴していない」の証拠になる。

安全デバイス管理の画面。端末の運用設定の下に「送信履歴(監査ログ)」の節があり、日時と送信者(自動巡回または管理者)、「送信成功」「送信失敗」の札、遠隔送信で送った設定名の一覧が4件並ぶ
端末ごとの送信履歴。失敗した行もそのまま残し、消すことはできない(画面はデモデータです)。

失敗の行も、自動の行も消さない

台帳には「送信成功」と「送信失敗」の両方が載る。 端末は省電力でごく短い通信しかしないので、保存した設定がその場で届かないことは珍しくない。 届かなかった分は10分おきの巡回が拾って送り直す。 その巡回が送った行は送信者が「自動巡回」になるので、店の誰かが触ったのか、裏で勝手に動いたのかが一目で分かる。 複数の設定を送る途中で1つでも失敗したら、そこで止めて失敗の行を書き、残りは次の巡回に回す。

巡回が動くたびに行が増えるので、うちのデリヘル管理ツールの画面に出すのは端末ごとに新しい20件までにした。 最初は全期間を読んでから切っていて、端末が増えるほど一覧が重くなるのに気づいて直している。 もうひとつ、7月に見つけた穴もこの経路で塞いだ。 返却された端末が別の店へ渡ったあと、前の店の未反映の設定が残っていると、前の店の連絡先が新しい店の端末へ送られてしまう。 送る直前に、設定の持ち主と端末のいまの持ち主が同じかを確かめるようにした。

宿題がひとつある。送った設定名が内部の英語のまま画面に出ている。 店の人が読んで「通報先と測位間隔を送った」と分かる言葉に直したい。