「末広で」と言われて、車を出せるか

電話で行き先を聞いて、住所を言うお客様はまずいない。「末広で」「ホーバーのあたり」。 地元の人には一言で通じる言い方で、住所にも駅名にも出てこない。「旧ホーバー」のように、もう無い施設の名前で呼ばれ続ける一角もある。 人間の受付なら「ああ、あの辺ね」で済む。でもAIの受付と配車の計算には、その「あの辺」が無い。 9月に作ったのは、この地元の言い方を地図の上の一点に変えるためのマスタだ。

呼び名は店ごとに違うものとして持つ

呼び名の行は、運営が全店に配る共有のものと、店が自分で登録するものの二層にした。 同じ名前が両方にあれば店の登録が勝つ。ホテルの台帳とまったく同じ型で、だから置き場所もホテルと同じ、 デリヘル管理サイトの独自ホテルの画面に同居させた。どちらも「場所」の台帳なので、分けて置く理由が無かった。

ただ、共有のほうに入れるデータは今のところ空にしてある。枠だけ作って中身を入れなかったのは、 確かめていない呼び名と座標を全店に配る怖さのほうが勝ったからだ。 座標が数百メートルずれた呼び名が一つ混ざるだけで、その街へ向かう車が全部ずれる。 地元の言い方は地元の店がいちばん知っているのだから、店に登録してもらうのが結局いちばん確かだと思っている。

座標の無い呼び名は保存しない

登録の画面で譲らなかったのは、緯度と経度を必ず持たせることだ。 呼び名は電話の受付でもオペレーターの画面でも「代表の地点」として使われるので、座標の無い行は何の役にも立たない。 店が入れるのは呼び名と代表の住所で、座標が空なら住所から自動で取る。取れなければ保存を断る。 地図を直接クリックして点を置いてもよくて、置いた点はドラッグで動かせる。 住所を書き換えたのに座標を触っていないときは新しい住所から取り直し、逆に住所を消しただけなら座標はそのまま残す。

独自ホテルの画面にある「ホテル街・エリアの呼び名」の節。大分市周辺の地図に末広・都町・三川・旧ホーバーの4つの代表点と事務所の印が並び、その下に呼び名・よみ・営業地域・代表の住所・別の言い方・緯度経度を入れる追加フォーム、さらに下に登録済みの4件が編集と削除のボタン付きで並ぶ。旧ホーバーには「要確認」の黄色いバッジが付いている
呼び名の登録画面。地図の点が代表の地点で、住所だけ入れて保存すれば自動でここに置かれる(画面はデモデータです)。

呼び名で受けた予約の行き先は「末広 周辺(ホテル未定)」という形で入る。町名や駅で受けたときと同じ形で、 呼び名だからといって目印の記号を付けたりはしない。AIが括弧の中を勝手に書き換えることがあるし、 オペレーターとキャストの目に触れる文字列を汚したくなかった。呼び名かどうかはマスタを引いて判定する。 キャストのNGエリアの判定は、呼び名の代表の住所にある町域で行う。 予約には呼び名の番号ではなくこの文字列と座標を複写しているので、あとで呼び名を消しても過去の予約は変わらない。

「のあたり」は外してから比べる

お客様は「末広」とだけ言うわけではなく、「末広のあたり」「末広のホテル街」「末広周辺」と言う。 照合の前に、こういう後ろに付く言い回しを外す。「別の言い方」の欄には「末広町のホテル街」のように、 その店のお客様がよく使う言い方を書いておけて、よみでも引ける。 そのうえで、確定するのは完全に一致したときだけにした。 「末広」と言われて「東末広」や「末広町1丁目」まで広げることはしない。似ている名前へ勝手に寄せると、別の街へ車が出る。

スクショの「要確認」のバッジは、媒体の交通費の表から自動で登録した呼び名のうち、町名でも駅でもない施設の名前を 地図から推定して置いたものに付く。人が編集して保存した時点で外れる。推定の点を黙って使い続けないための印だ。

明日は、読みが1文字だけ違うときに勝手に決めず「◯◯でしょうか」と聞き返す話を書く。