「折り返します」と言ったのはシステムで、守るのは店
電話は30秒鳴らして、誰も出なければ切る。切る前にお客様へ流れるのはこの一言だ。 「のちほど担当者より折り返しご連絡いたしますので、恐れ入りますがこのままお切りになってお待ちください」。 全員が通話中のときも、受付時間外も、言い回しは違えど同じ約束をしている。 約束したのはシステムで、守るのは店だ。だから守れる形で画面に残さないと、 この一言はただの体のいい断り文句になる。
デリヘル管理アプリの着信・録音の一覧では、出られなかった着信に赤い「無応答」が付く。 番号ごとにまとまって新しい順に並び、顧客登録があれば名前、なければ「未登録」で載る。 受付時間外の着信は琥珀色で別に出る。折り返すかどうかは店の判断だが、 鳴っていたこと自体は消さない。 掛け直しは受付画面の電話番号欄からの発信で、その発信も同じ番号の履歴に並ぶので、 赤の下に発信の行があれば折り返し済み、無ければまだ、と上から順に眺めれば分かる。
既定値は「出られなかった」
地味だが、いちばん考えたのはここだ。着信のログは鳴った瞬間に「無応答」として書く。 オペレーターが実際に受話した通知が戻ってきたときだけ「応答」に上書きする。 逆ではない。「出た」を既定にして「出なかった」を後から書く設計だと、 途中で何かが転んだときに、出ていない電話が出たことになって静かに消える。 取りこぼしは取りこぼした側に倒れてほしい。 この向きにしておけば、最悪でも「本当は出ていたのに赤いままの行」が残るだけで、 それは掛け直せば済む話だ。
副作用もあった。AI受付が応対している最中の着信は、一覧を取り直すたびに 既定値の赤に戻ってしまい、AIがちゃんと出ているのに「無応答」と表示される時間ができた。 AIの応対開始をリアルタイムに受けて、一覧の再取得をまたいでも状態が上書きされ続ける ようにして落ち着いた。既定値を安全側に倒すと、こういう見た目の嘘と付き合うことになる。
AI受付のプランでは、そもそも人が出られなくてもAIが出るので赤が付く場面は減る。 それでもお客様が「担当から折り返して」と言えば、AIはその依頼を記録して オペレーター画面のカードに残す。赤いバッジも、このカードも、やることは同じで、 システムが代わりにした約束を人間に引き継ぐための札だ。
スクショの下のほうに「キャスト・ドライバーからの着信」という別の箱が写っている。 お客様の履歴に身内の電話を混ぜないための仕切りで、明日はこれを書く。